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かざりかんざし職人三浦のブログ

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簪を復刻する

先週は預かった見本を新たに作る作業をしました。
古い時代のものではないですが、似たように作るのではなく、同じように復刻する作業は手間がかかり難しいものです。 このような仕事、中にはとてもまねることの出来ない細工物もあり、肩を落とすこともありますが、品物によってはつい手を加えたくなるのが職人魂。
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全体的なバランスを見て、耳かきの大きさをやや大きくしたり、葉の曲げ具合に多少変化を付け、分からない程度にマイナーチェンジ。 
出来上がった時に、新たに作った方が良い細工だねと言われたいものでもあり、10年後に修理品として戻って来た時に、これは自分が手掛けたものだと分かりますしね。
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# by kazarikanzashi | 2013-07-07 05:19 | 仕事場 | Comments(0)

松竹梅鶴びら簪

古い簪の修理と再メッキの工程を紹介します。
飾りは松竹梅に鶴が飛んでいる吉祥の細工。 今回の仕事はこちらの簪を綺麗に直し、
ご婚礼用として使いたいというご依頼です。花嫁となる方のご実家に眠っていた簪を甦らせます。
松竹梅鶴びら簪_e0271858_9121818.jpg


まずは外せる部分を分解します。全体的に色褪せてしまい、梅の花も腐食しています。
曲がってしまった下がりの房を一本ずつ真っすぐに直すのですが、これがなかなか根気のいる作業です。
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全て洗浄し、房も真っすぐに直りました。分かりづらいですが梅の花の腐食も取り除き、
簪も磨いた状態。どこまでメッキが綺麗に付くか心配なところです。
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修理前・修理後の状態を同じ角度から撮りました。見比べてください。
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松竹梅鶴びら簪_e0271858_9125795.jpg


ご婚礼にお使いになるということでしたので、ご依頼者様にサンゴ玉を付けるご提案を
させていただきました。婚礼用らしく華やかに仕上がったと思います。
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古い簪もこのように甦らせることができます。
思い入れがある簪を引き継いで使うとは素晴らしいことですね。
きっと素敵な結婚式になることでしょう、どうぞお幸せに。。。
# by kazarikanzashi | 2013-07-04 09:53 | 仕事場 | Comments(0)

波千鳥錺櫛

こちらは以前納めた歌舞伎で使われている櫛です。
今回手直しの依頼を受けたので紹介します。図柄は扇面に波千鳥の透かし彫り、
千鳥は半立体で扇面の上に乗っています。
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依頼は裏に板をはめ込む直しです。魚子(ななこ)地文の板を使い、奥行きに変化を出しました。 魚子(ななこ)とは魚卵の粒のことを差し、小円が密に置かれたようにみせる彫金技法のひとつ。
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舞台用の櫛は大きいです。この品物は左右180mmあり、前から見ると肉厚に見えるように枠が付いています。軽量化を考慮した作りです。
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裏板を被せた状態。一度仕上げた品物の手直しはなかなか手間がかかります。
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前から見た状態。魚子文様がコントラストを付け、奥行きが出たようになりました。
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客席から見た舞台では裏板に柄が入っていることなどまず見分けが付かないでしょう。
役者さんや床山さんのこだわりを受け止め、より良い品物を作ることが職人の努めだと思います。
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# by kazarikanzashi | 2013-06-29 08:23 | 仕事場 | Comments(0)

祝!富士山世界文化遺産

日本一の山、富士山が世界遺産に認定されましたね。
私も三年前にこの霊峰に登って来ました。初めての経験でしたが、天候にも恵まれ荘厳な御来光も浴びることが出来ました。 実は私、仲間連中で関東近郊の山に登るのが趣味のひとつとなり、事の始まりはこの富士登山でした。
祝!富士山世界文化遺産_e0271858_6463361.jpg


仲間連中と言っても、みんな従兄弟やその旦那衆で40代が連なる6名のメンバーで年に数回「ゆる登山」を楽しんでいます(笑)

数年前に親戚が集まる正月の宴会で「一生に一回は富士山に登ってみたいよね」の一言で意気投合し「オヤジ会・俺たちの旅」結成。

まずは高尾山から始め箱根の山を登り、富士山に向けてトレーニング開始。
と言っても登った後は日帰り温泉に浸かり、帰りのロマンスカーでは居酒屋状態(笑)
これがゆる登山の信念。

翌年無事富士山に登ることができ、それ以来このオヤジ会は続いています。
テーマは「いとこの絆と自然とのふれあい」と言いつつ、嫁・子供そっちのけで日頃溜まったガスを抜きに出て行く我がままなオヤジ衆。。。
毎回家に帰ってからの出来事はご想像ください(笑)
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2010年7月25日 富士山頂より
# by kazarikanzashi | 2013-06-23 08:00 | 日記 | Comments(1)

鷹匠の鈴

先日の続きです。
今回の小旅行(笑)こちらが鷹匠さんに依頼された鈴の型見本。
鷹の尾羽に取り付けるもので、一見愛らしくも見えますが古典的で洗練された造形です。
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鷹匠さんのもとへ伺う前に立ち寄ったのがこちらの手打ちそば屋。
櫛かんざし美術館を出たのが昼過ぎだったので、まずは腹ごしらえ。
雰囲気のあるいい店でした。天ざる美味かった〜!
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街道から少し上がり、沢に架かる橋を上ると鷹匠さんの家はありました。
何となく閉鎖的でミステリアス。。。鷹と暮らすためにこの地を選んだとか。
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鈴にもいろんな種類があるそうです。大きさも其々あり音の高いものから低いものまで。
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以前は道具も取り揃えて、ご自分でも作っていたそうです。かなり器用な方のようです。
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こちらは鈴と一緒に着ける共鳴板のようなものでしょうか?
素材は60cm以上の大きな鯉のエラ骨を使って作るそうです。隣はべっ甲製
かつては貴族や大名の間で盛んに行われた鷹狩り、使う道具にも拘っていたのでしょう。
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同行した組紐屋さんが依頼されているのは鷹を結ぶ綱に付ける房付きの組紐など。
この方も能や歌舞伎などの他、お寺関係の組紐を専門に手掛けている素晴らしい職人さんです。
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こちらは鷹が暴れないように目隠しをする頭巾。このものだけでも工芸品ですね。
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庭には鷹が数匹飼育されていましたが、デリケートな動物なので写真は遠慮しました。
変わりに鷹匠さんが描いた作品を撮らせていただきました。
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今回お話を聞かせていただいたのは、鷹匠のお師匠さんとお弟子さんの女性鷹匠さんのお二方でして、ブログアップのお断りを伺ってこなかったので、敢えてお名前は伏せさせていただきますが、お二方とも鷹匠界ではかなり著名な方々です。
興味深いお話有り難うございました、理想の鈴が出来るように頑張りたいと思います!
# by kazarikanzashi | 2013-06-22 09:33 | 日記 | Comments(3)